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History of Coaching

コーチング

2014.8.12

コーチング40年の歴史

渡邉 寧 | 株式会社かえる代表取締役

■コーチングの歴史

前回の記事(「コーチングとは何か:3つの切り口」)では、「コーチングとは何か」という問いを3つの切り口から眺めてみました。今回はコーチングの歴史について少し触れておこうと思います。

 

コーチングはどのような歴史を経て発展してきたのでしょうか?

 

コーチングの歴史が語られることは滅多にありません。古くは古代ギリシアの「ソクラテス式問答法」に行きつくのですが、現在、世の中に広まりつつあるコーチングの起源はアメリカ発祥というイメージ以上に詳しく知っている人はいないのではないかと思います。

歴史を知ることは、将来の方向を考える上で有益なので、ここに簡単にまとめておきます。

 

日本でコーチングが初めて紹介されたのが1997。この年、コーチ・トゥエンティワンが日本最初のコーチ養成機関として設立されました。(現在のコーチ・エィ)また、榎本英剛さんがCTIジャパンを設立したのが2000年です。日本でコーチング研修を提供する機関としてはこの2つと、あとチームフロー銀座コーチングスクールNLP系の各種講座を私の周りでは良く聞きます。

そういう意味で、日本におけるコーチングの歴史はわずかに15年程度です。一方、コーチング発祥の地であるアメリカではコーチングは40の歴史があります。

■アメリカ発祥のコーチング

アメリカでは1970年代に、カリフォルニアのエサレンにあったエサレン研究所で最初のコーチング普及活動が始まりました。

エサレン研究所は今に続く人間性回復運動の精神的な故郷で、人間性心理学や現在の各コーチング流派の重要人物が多く関係しています。

欲求5段階節で有名なアブラハム・マズローは知っている方が多いと思います。経営の分野でも度々言及される研究者です。彼もエサレンで教鞭を取っています。また、プロセス指向心理学のアーノルド・ミンデルNLPグレゴリー・ベイトソン、心理療法家のカール・ロジャースもエサレン研究所を訪れていたそうです。さらに言うと、エサレン研究所で100万人以上に気づきのプログラムを提供し、「歴史上2番目にコーチングに影響を与えた」と言われているワーナー・エアハードにテニスを教えていたのが、「インナーゲーム」のT.W.ガルウェイです。

1988年になると、のちにICF(国際コーチ連盟)を設立するトマス・レナードが「デザイン・ユア・ライフ」というコースでコーチングの指導を始めます。このトマスのグループにはCTIを設立することになるローラ・ウィットワースヘンリー・キムジーハウスもいたそうです。

一方で、1990年代になると欧州でもコーチング普及の流れが始まります。ジョン・ウィットモアがインナーゲームとコーチングのアイデアをイギリスとヨーロッパの国々に伝えたことが大きいようです。ジョン・ウィットモアのアプローチは企業活動とのマッチング良くデザインされているので、今日では欧州企業のかなり多くにビジネスコーチング/エグゼクティブコーチングが導入されるようになっています。

■コーチングとIT産業は成り立ちが似ている

こうしてみると、コーチングという領域は米国カリフォルニアの狭い地域で、関係する様々な様々な分野の異才達が喧々諤々と議論し、実践と理論化の営みを通じて作り上げてきたものなのだということが良くわかります。それはまるで、現在のシリコンバレーにおいてIT系のスタートアップが集積し、新しい技術と文化を創り出しているのと似たような状況なのかもしれません。


コーチングは流派によらず、

 

  • 人間の可能性に対して楽観的な見方を取る
  • 構成主義的な人間観を持つ
  • 行動と学習を重視する

 

という特徴を持ちます。40年前のカリフォルニアで、コーチングは様々な領域の知見を参考にしつつ、実戦的な方法論としてその土台が作られました。それが世界に広まり、世界各地の実情を踏まえた上で、今も変化し続けているのだと思います。

 

日本でのコーチングは欧米に比べると歴史も浅く、その広がりは限定的です。しかし、企業という文脈でも社会全体という文脈でも「価値観の問い直し」、「人としての成熟化」、「人との関係性の再構築」という課題の重みが増しています。こうした環境変化を背景に、コミュニケーションの専門家としてのコーチが果たす役割は大きくなるのではないかと思っています。

 

今回はアメリカ発祥のコーチングの歴史を簡単にまとめました。次回記事(「7種類のコーチング流派」)では様々に分化したコーチングの流派を概観してみようと思います。

 

 

参考文献:「コーチングのすべて――その成り立ち・流派・理論から実践の指針まで」ジョセフ・オコナー、アンドレア・ラゲス〈著)杉井要一郎(監訳)2012年

 Photo by (c)Tomo.Yun

 

著者プロフィール

渡邉 寧YASUSHI WATANABE

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。 2014年に独立し、現在は「人と組織が変わること」に焦点を絞ったコンサルティングに取り組んでいる。プライベートではアシュタンガヨガに取り組み、ヨガインストラクターでもある。株式会社かえる代表取締役。

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