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コーチング

2014.10.16

人生の5つの発達段階とコーチングの効果

渡邉 寧 | 株式会社かえる代表取締役

■コーチングの効果と人間の発達段階


コーチングのサポートを得て人生を棚卸し、次の人生のステップを上がっていく人達を見ると、ある特徴があることに気づきます。

それは、20代が極端に少ないこと。

コーチングに興味を持つのは30代以上が9割だと思います。また、40代・50代のボリュームも非常に大きい。

私がコーチングの存在を初めて聞いたのは25歳の時でした。正直、その時はコーチングというものの意味が全く分からなかった。なぜ人生相談をお金を払って行う必要があるのか理解に苦しみました。

10年以上が過ぎ、この歳になって初めてコーチングがもたらす効果が良くわかるようになりました。

人生の発達段階コーチングの効果には何らかの関係があるようです。

■ロバート・キーガンの5段階の発達段階モデル

ハーバード大学のロバート・キーガンは、5段階の発達段階モデルを提示しています。このモデルから見ると、コーチングがクライアントの人生にどのような効果をもたらしているのか、見通しが良くなります。

発達の最初の段階は第2段階(=個人主義者)です。この段階の特徴は下記の通りです

  • 自己と他者は対立していると考える
  • 勝ち負けで物事を考える傾向にある
  • 自分のニーズを他人のニーズよりも優先させる傾向にある

この段階にある人は、いわゆる、子供的な特徴を持ちます。大半の人は青年期にこの段階を卒業するため、成人になってもこの段階に属する人は多くはありません。アメリカの例では、成人全体の10%がこの段階に属します。


次の段階は、第3段階(=社会の構成員)です。この段階の特徴は下記の通りです。

  • 自分の欲求や価値観と、内面化された他者の欲求や価値観が未分別である
  • 自分の欲求よりも他者の欲求を優先させる

この段階にある人は、良き社会の構成員と言えます。他者の意向に従って生きる選択をしています。成人の集団としてはこの段階が最も大きなボリュームゾーンになっていて、アメリカの例では成人全体の55%がこの段階に属します。


「社会の構成員」の段階を過ぎると、第4段階(=自己創造)の段階に進みます。この段階の特徴は下記の通りです。

  • 自分を自分の望む通りに作り上げる
  • 他者の視点を理解することが出来る
  • 誠実さが重要な価値で「自分自身に正直」でなくてはならない
  • 自己の個人的体験を大切にし、自己の価値と独自性を良く理解している

この段階にある人は、プロフェッショナルが多く、他者の為に働きながら、自分自身を高度な行動規範によって縛っています。アメリカの例では、成人全体の20~25%がこの段階に属します。


自己創造の段階を過ぎると、第5段階(=自己への気づき)に進みます。この段階の特徴は下記の通りです。

  • 自己の価値観を相対化する
  • 人生の流れを理解する
  • 個々人よりも人間全体へ関心を持つ

この段階にある人は、自己を離れて一歩俯瞰した視線で物事を見るようになります。アメリカの例では、成人全体の10%がこの段階に属します。

第6段階以上もあるようですが、ここでは省きます。ちょっと読む限りここより上の段階は、仏教の解脱の概念に近いイメージです。

■コーチングが効果を発揮しやすい発達段階

アメリカのコーチのジョセフ・オコナーによれば、コーチングが効果を発揮するのは人が第3段階から第4・5段階へ移行するタイミングだそうです。

日本でも状況は同じだと思います。第3段階から上位段階への移行期にコーチングは大きな効果をもたらします。

日本人は、子供の頃からとにかく第3段階に到達する為に頑張ります良い社会人となるように常々言われます。また、良い学校に入って良い会社に就職することは大半の人にとってステータス感をもたらします。経済的に安定し、社会的な地位も確保できる。

突飛なことを言ったり行ったりするのは“KY”と言われるので、自己主張は抑えます。一方で確実に評価される勉強は頑張る。

こういう生活態度を長く続けると、確かに第3段階へは到達できます。その代わり、自分の今の状態は、本当に自分が望んでいることなのか、社会から刷り込まれて「自分が望んでいる」と錯覚してしまっていることなのか区別がつかなくなります。

コーチングのセッションでは、「自分が本当に望むこと」「社会から望まれていること」の区別を丁寧につけていきます。対話をする中で、クライアントが「響く」ポイントをコーチは探します。クライアントは何が大切だと思っているのか。本当に成し遂げたいことは何なのか。その「響き」を増幅させることで、「社会から望まれていること」に埋もれてしまっていたクライアント本来の「望み」が自ら明らかになるように手助けをします。

多くの人にとって、20代は「第3段階の自分」を確立する時期なんだと思います。だからあまりコーチングの効果が必要とされない。「良い大学を卒業した」「良い会社に就職した」ことを誇りに思うのはこの年代です。しかし、私の周りを見るに、多くの人がこの段階でとどまり続けることに違和感を覚えているように思います。

「自分は本当は何がしたいのか?」「人生で成し遂げたいことは何なのか?」そんな問いが自分の中にぐるぐると沸き起こるようであれば、それはきっと次の段階に向かう始動が起こっているということだと思います。コーチングはそのプロセスで大きな効果を発揮します。

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著者プロフィール

渡邉 寧YASUSHI WATANABE

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。 2014年に独立し、現在は「人と組織が変わること」に焦点を絞ったコンサルティングに取り組んでいる。プライベートではアシュタンガヨガに取り組み、ヨガインストラクターでもある。株式会社かえる代表取締役。

プロフィール詳細

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