YASUSHI WATANABE.COM

Blog

way to improve your motivation

自己効力感とモチベーションを上げる

2014.10.6

深く考えたい:モチベーションアップに役立つ3つの観点

渡邉 寧 | 株式会社かえる代表取締役

■やる気の問題

「やる気が出ない」

人間誰しも、モチベーションが上がらずに困ったことがあると思います。学校でも職場でも。

モチベーションが上がらないことによってパフォーマンスが落ちます。すると、パフォーマンスが下がったことによってモチベーションが更に下がります。その結果、パフォーマンスが一層落ちます。

要は、モチベーションの低下は、悪循環をスタートさせるトリガーになるのです。この悪循環が回り始めると人生の幸福度は大きく下がります。

「モチベーションを如何に維持するか?」は個人の幸福度を左右する重要な論点です。コーチングのセッションをしていても、モチベーションの維持は頻繁に上がるテーマです。私の場合は仕事のモチベーションの相談が多いのですが、浮かない顔でコーチングセッションに来て「最近、仕事のモチベーションが今一つ上がらない」と相談されることが非常に多い。

■どのようにしてモチベーションを上げれば良いのか

それでは個人のモチベーションはどうすれば上がるのでしょうか?

巷には「モチベーションを上げる10の方法」というような本や記事が沢山あります。その一つ一つの方法には一定の有効性はあると思います。しかし、モチベーションを上げる方法を考える上では、一歩引いて、次の3つの観点をまずは考えるのが良いと思います。これにより、モチベーションの全体像が見えやすくなります。その3つの観点とは、

①「危機意識」
②「ビジョン」
③「今、ここ」

です。

神戸大学の金井壽宏さんは、上の①②のことを指して「緊張系」「希望系」と言いました。

モチベーションは「危機意識」から生まれる場合があります。「このままでは仕事がなくなる/試験に受からない!!」という危機意識は個人のモチベーションをドライブします。この手のモチベーションはゆでガエルに熱湯をかけるようなもので、即効性があります。ただし、持続性がありません。危機が去ればモチベーションは消えてなくなってしまいます。

一方、「ビジョン」は、将来どうありたいのか、という「希望」がモチベーションをドライブします。「危機意識」ほどの即効性はありませんが、個人のモチベーションを長期にわたってドライブし続けます。

金井さんは「緊張系」と「希望系」はサイクルのように連続してモチベーションを刺激する、と述べ、自分のモチベーションを調整できる「持論」を作ることが重要と述べました。

私は、この見方は大変正しいと思いますが、もう一つ大事な観点があると思います。それが③「今、ここ」です。人が行動することで影響を及ぼせる範囲は「今、ここ」にしかありません。

①「危機意識」(=緊張系)は「過去」の状況に対する反応です。また、②「ビジョン」(=希望系)は「未来」に対する期待です。

「過去」でもなく「未来」でもなく、「今、ここ」。「今、ここ」に居る自分自身の在り方を深く観察し、環境を変え、行動をしていくことがモチベーションを維持する上では重要です。人は、過去と未来に引っ張られる傾向があります。過去の振り返りと未来の計画ばかりを考え、その中間である現在に意識を向けない。それはまるで、過去と未来の間を行ったり来たりする空中ブランコに乗って、その中間の「現在」を猛スピードで通過しているようです。

■「今、ここ」のモチベーションを考える

「今、ここ」のモチベーションを考える、とはどういうことでしょうか?

これには2つの意味があります。一つは、今、そこに存在するあなたの「モチベーションスイッチ」を探るということです。あなたにはあなた独自の「モチベーションスイッチ」があります。それは「生まれつき持っている指向」×「育った環境」によって作られています。MBTIとコーチングは、これを探るのに大きな手掛かりを提供してくれます。(参照「MBTIとは:MBTIが人生に役立つ3つの理由」、「コーチングとは何か:3つの切り口」)

一人一人が少しずつ異なる「モチベーションスイッチ」を持っています。その為、個人の特徴を考慮しない「モチベーションを上げる方法」には意味がありません。巷には「モチベーションを上げる10の方法」のような本や記事が沢山ありますが、もしかしたらそれはあなたには役立たないかもしれません。

もう一つの意味は、「フローを設計する」ということです。アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー」という概念があります。何かに没頭した体験を持つ人は多いと思います。むさぼるように本を読んだ、とか、時が経つのを忘れてゲームに没頭した、という経験です。

この、周りから切り離されて極度に集中している状態のことをフローと呼びます。フロー状態中は極めて高いモチベーションが維持され、強い幸福感を感じます。

フローが起こるメカニズムは研究により明らかになっています。適切な難易度の維持はフロー状態を引き起こす基本メカニズムです。また、素早いフィードバックや成果の見える化など、ゲーミフィケーションの技術を使うことでモチベーションの維持はより強固なものとなります。

■「危機意識」「ビジョン」「今、ここ」の3つの観点でモチベーションをデザインする

以上、一歩引いた目線で3つの観点からモチベーションを見ることを述べてきました。「この音楽を聞けばモチベーションが上がる」とか「早起きすればモチベーションが上がる」とか、世の中には様々なモチベーションアップのTipsがあります。それ自体を否定するつもりはありませんが、本当に強いモチベーションを得たいと思うのであれば、一歩引いた目線で自分のモチベーションをデザインすることをお勧めします。

「危機意識に身を浸してみる」
「将来ビジョンを明確にイメージする」
「今、ここの自分のモチベーションメカニズムを設計する」

3つのことを平行して行うことで、あなた独自の強固なモチベーションが形成されて行きます。(その上で、有効だと思うモチベーションアップのTipsを味付けとして加えていく)

時間はかかりますが、人生の幸福度を上げることを考えるのならぜひトライしてみるべきポイントだと思います。

著者プロフィール

渡邉 寧YASUSHI WATANABE

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。 2014年に独立し、現在は「人と組織が変わること」に焦点を絞ったコンサルティングに取り組んでいる。プライベートではアシュタンガヨガに取り組み、ヨガインストラクターでもある。株式会社かえる代表取締役。

プロフィール詳細

関連ブログRelated Blog

「考えろ!」だけでは人と組織は成長しない

コンピテンシーと効果的なOJT組織デザインを考える

2019.4.16

「考えろ!」だけでは人と組織は成長しない

自分の頭で考えない社員 組織変革や組織デザインの仕事をしていると、「自分の頭で考えない社員が多いんですよ」とい… more

あるべき組織デザインをサッカーの比喩から考える

組織デザインを考える

2019.5.4

あるべき組織デザインをサッカーの比喩から考える

「闘うサッカー理論」湯浅健二著の読書メモです。最近、サッカーを観ていると、「あ、これ会社組織でも一緒だ・・・」… more

組織を蝕む自己効力感の低さ。組織ぐるみで対策を

自己効力感とモチベーションを上げる

2019.4.18

組織を蝕む自己効力感の低さ。組織ぐるみで対策を

仕事確認の2つのパターン 仕事の中で「これで良いですか?」とか「確認頂けると助かります」と、内容確認を求められ… more

最新ブログをメールでお知らせします。メールアドレスをご登録ください。

個人情報の取り扱いに関して