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認定ユーザーだけど、受検者としてStepⅡのフィードバックを受けた
先日、MBTIのStepⅡのフィードバックを自分自身で受けてみました。実は自分自身がStepⅡのフィードバックを受けるのはこれが初めて。
私は、StepⅡの認定をStepⅠの認定を受けた後に立て続けに取ってしまったんですね。認定を受けてしまうと、一般の受検者と一緒に自分が受検者としてフィードバックを受けることが出来なくなる。その為、認定講座の中ではフィードバックで行う演習自体は経験しているものの、一般の受検者対象の設定でどのようにフィードバックがなされるのかを実は見たことが無かった。
今回、認定ユーザー向けのStepⅡのフィードバック受講の機会が新しく準備されたので、早速フィードバックを受けてきました。
MBTIとは?
MBTI(Myers Briggs Type Indicator)は、ユングのタイプ論を基にした自己・他者理解メソッドです。個人的に、とても優れたメソッドだと思ってまして、様々なクライアントの組織開発案件で良く使っています。
・組織のリーダー層が、より効果的なリーダーシップを発揮するにはどうすれば良いか?
・組織内の相互理解を進め、関係性開発を行うにはどうすれば良いか?
といった課題を感じている場合には、MBTIが役に立つことは多いですね。また、個人的には自分の「取り扱い説明書」をはっきりと認識し、人生100年時代とも言われる中で、生涯を通じてどのように人としての成熟を目指すか、ということを考える際に大変大きな示唆をもたらしてくれるように思います。
(MBTIについては、こちらの「#MBTI」ページに記事をまとめています)
MBTI STEPⅡとは?
MBTIに初めて触れる人は「ベーシックフィードバック」というものを受けます。これがStepⅠ。認定ユーザーからMBTIについての説明を受けたのちに、Webや紙でMBTIを受検します。そして、その結果を出発点として様々な演習を行い、その中で認定ユーザーからフィードバックを受けながら自己・他者理解を深めていきます。
多くの人が知っているMBTIはこのベーシックフィードバック(StepⅠ)だと思いますが、MBTIには実はその先があります。そして、「その先」の一つがStepⅡ。
日本ではStepⅠで終わってしまう人が大半のようですが、アメリカではStepⅡまで行うことが標準的なのだそうです。(ちなみに、アメリカではStepⅢというものまで開発されている)
MBTI StepⅡでは、StepⅠの各指標ごとに5つのファセットが定義されています。つまり、E/I(外向/内向)、S/N(感覚/直観)、T/F(思考/感情)、J/P(判断/知覚)の4つの指標の下に細分化された5つのファセットが定義されているということになります。(全部で20のファセット)
StepⅡでは「心の利き手」をより細分化して見ていくことになるので、20のファセットに関して「インプリファレンス/アウトオブプリファレンス/ミッドゾーン」を確かめていきます。
MBTI StepⅡが役に立つ場面①|利き手が決めきれない場合
MBTI StepⅠを受けると、一定の割合で「二律背反の2つ、、どっちもあるような気がする。どちらか一方には決められない」と感じる人が出てきます。この理由はいくつかあるのですが、その理由の一つが「幾つかのファセットがアウトオブプリファレンス」であるというものです。
1つの指標の下にある5つのファセットのうち、いくつかがその指標の利き手とは逆側であるということがあり得ます。その場合、「指標の説明だけ聞いていると両方あてはまるような気がする・・・」という感覚になります。
例えば、よくあるアウトオブプリファレンスのパターンの一つに、「親密外向タイプ」というものがあります。(出所 MBTI STEPⅡ受検者ガイド)本人の利き手はE(外向)なんだけれども、ファセットの一つの(社交指標⇔親密指標)が、本来はI(内向)のファセットである(親密)であるというパターンです。
外向だったとしても、(親密)の場合、一対一で深く関わる関係を求めたり、大きなグループにいるよりも、少数の重要な人とかかわりを持つことを好みます。その為、E(外交)かI(内向)かという演習を経ても「自分はI(内向)なんじゃないか」と感じます。
StepⅠを受けて、「なんか両方あるような感じがする」という感覚がある場合はStepⅡが役に立つことがあります。ファセットのアウトオブプリファレンスだけが「両方ある感じ」の理由ではないので、StepⅡを受けたからと言って必ず明確になるわけではありませんが、受けてみる価値があるのは確か。
MBTI StepⅡが役に立つ場面②|より細かく自己理解をしたい場合
利き手が決めきれない場合に加えて、私がStepⅡが良いなと思うのは、「利き手じゃない指向」を開発しようとする際に、何に意識をして開発を進めると良いか、より細かく具体的に考えるヒントになるところ。
例えば、私の例でお話をすると、E(外向)/I(内向)で言うと、私は5つのファセットのうち一つも「アウトオブプリファレンス(=逆側の指向)」が無いI(内向)で、自分は明確にI(内向)であるという自覚があります。
E(外向)/I(内向)はエネルギーの方向性の違いでしかないので、優劣は無いのですが、自分の指向が心地よいからと言って、そこに安住してしまうことは避けたいと思っています。よって、日常生活では意識的にE(外向)に自分を持っていくことがあります。その際「「E(外向)の心的態度を取る」ということは、もう少し詳細に言うと何を意識することなのか?」を考えるわけですが、StepⅡを受けた後は2つのことを意識する必要があるなと感じています。
①率先する
私の利き手は「受動」で、社交は重要なものとは思っておらず、とりとめのない会話は嫌いで重要な問題や課題について議論する方が好きなのですが、「ここぞ」という時を見定めたら「率先」に振り切る必要があると思っています。
すなわち、率先して他者と関わり、集まりを企画したり、その場をファシリテートしたり、人と人を繋いだりする、ということです。「率先」は自分にとっては利き手ではないので、エネルギーを使って行う必要があり徒労感があります。しかし、お互いが知り合っている方が、タスクはより上手に行われることがある、と考えると、私は率先することが苦にはなりません。
②内省と活動を同時に行う
私の利き手は「内省」で、書くことによるコミュニケーションを信頼する傾向にあるのですが、同時にそれを「口から出す」(=活動に振り切る)ことを意識的に行う必要があると思っています。なので、例えば仕事の場面であれば、お客さんとはなるべく頻度高くF2Fのミーティングを持ち、書いたものを持っていくとともに、その話をするということが大事だと感じています。
ベーシックフィードバックを受けた後の次のステップの一つとして
MBTI StepⅡは、ファセットが20あることから、情報量としてはかなりのものがあります。しかし、成熟した人生に向けてどのように生きていくかを真面目に考える上では1つのヒントになると感じます。
MBTIのアプローチ自体がしっくりくるなと思う方にはお勧めしたいものの一つです。
著者プロフィール
渡邉 寧YASUSHI WATANABE
慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立し、現在は「人と組織が変わること」に焦点を絞ったコンサルティングに取り組んでいる。プライベートではアシュタンガヨガに取り組み、ヨガインストラクターでもある。 株式会社かえる 代表取締役。
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