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Vipassana Meditation

ヨガと瞑想

2014.9.10

ヴィパッサナー瞑想で得た10のおまけ効果

渡邉 寧 | 株式会社かえる 代表取締役

おまけ効果が色々とついてくる

10日間、瞑想センターに籠り、誰とも話さず毎日10時間の瞑想をするヴィパッサナー瞑想。2014年夏に自分で10日間のコースを体験してきました。

この瞑想のメインの効果は別記事で書きますが、メインの効果に加えて、色々とおまけ(副次)効果がありました。ここではそれを10個まとめておきます。大きく分けると「体の変化」「習慣の変化」「認識の変化」の3つに括られます。

 

この瞑想コースは、10日間人との接触を一切断って、自分の心と体とだけひたすら向き合います。これは自分にとって人生初の経験。生れ出た瞬間から親との関わりはあったし、近所の人たち、学校の人たち、会社の人たち、と必ず何らかの人との接触がありました。それが突然10日間なくなる。代わりに、かなり丁寧に自分の体、習慣、考え方(認識)を見直す時間が現れる。

瞑想中も瞑想意外の時間も、ハッと気づかされる経験の連続でした。

■体の変化


1.猫背が直りそう


僕は昔から猫背なのですが、ヴィパッサナー瞑想を経てそれが直りそうです。

それは、「自分がなぜ猫背なのか」という理由に気付いてしまったから。瞑想中背筋を伸ばして矯正されたこともありますが、より重要なのは「猫背の理由」に気付いたこと。猫背の真因がわかれば根本的な解決策が打てます。

瞑想中に、猫背という姿勢には実は重要な役割があったことに気づきました。それは「呼吸を楽にする」という効果。瞑想では座禅を組みますが、その時背筋を伸ばし首を伸ばすと呼吸が苦しくなるんですね。僕は日常生活では胸式呼吸をしているので、背筋を伸ばすと肺があばら骨に圧迫されて上手く呼吸が出来ないんです。猫背にすれば胸にスペースが出来て呼吸が楽になる。

これに気付いて、背筋を伸ばして胸式呼吸を腹式呼吸に変えてみました。すると呼吸は全然苦しくならない。これは本当に驚いた。「あっ!」と思いました。要は、腹式呼吸をしないと猫背は直らないということですね。37年間、この体のメカニズムに全く気付いていませんでした。瞑想で自分の体に向き合い始めて気づいた事実でした。

2.2キロ痩せ、体脂肪率が2%落ちた

とにかく痩せました。


コースの
10日間は12回食事をします。朝6時半とお昼11時。これに15時にお茶と果物を頂きます。ごはんは玄米・汁ものと付け合わせ(ひじきなど)が1品ほど。シンプルですが美味しい食事です。

1日の大半の時間を瞑想しているので消費カロリーは相当低くなりますが、口から余分なカロリーが入ってこないので痩せます。

CMでダイエット効果を宣伝しているようなジムに行かなくても、ヴィパッサナーに行けば痩せるということを体験しました。

■習慣の変化


3.早起きになった


コース中は朝4時に起床します。そして4時半から6時半まで瞑想。10日行って、この早起きは習慣化されました。


日常生活で朝2時間瞑想するのは難しいと思いますが、早起きの継続は問題なく出来ます。10日という期間も習慣を形成するにはちょうど良い期間なのではないかと思います。

4.素食になった


余計なものを口にすることに違和感を感じるようになりました。


ヴィパッサナー瞑想では体の感覚に意識を集中させますが、コースの後半で体の内部にも意識を向けることを求められます。食べたものが消化器官のどのあたりにあるか、にも意識が向きます。余計なものを食べると消化器官に負担がかかるような気がするんですよね。


必要なものを必要なだけ食べればそれで良いんじゃないかという認識が強くなりました。

5.食器の洗い方が効率的になった


このコースはすべてボランティアで運営されています。食費を含むすべての費用が無料です。当然、ホテルのようなサービスはありません。使った食器は自分で洗います。


なるべくシンクを汚さず、食器洗い待ちをしている後ろの人の為に、手短に食器を洗うことが必要です。その為には、水洗いする前に食器をキッチンペーパーで綺麗に拭いておくのが良いということに気づきました。


まず、食べる分以上は絶対に自分の皿に食べ物を取らない。そして、一粒・一かけらも残さず全部食べる。それから、シンクに行く前にキッチンペーパーで食器をふき取る。これでシンクを汚さず最短で食器が洗えます。


家庭でもこうしようと思います。子供が居たら絶対に同じようにさせます。台所を綺麗にしてくれる人になるべく負担をかけず。感謝を込めて。

6.湿疹への対処が変わった


僕は、体に湿疹が出る場所があります。これがどういう時に痒くなるのかがわかりました。要はをかいて、それが引いた時に痒みが増すんですね。当たり前のことなのかもしれませんが、そんな基本的な体のメカニズムがわかってなかった。


今までは湿疹は痒くなったら薬を塗るということをしていましたが、それ以前に汗を綺麗に拭きとるというメンテナンスをするようになりました。

7.他人への気遣いを丁寧にするようになった


コース中は他人とはコミュニケーションを取りません。それは全員が全員の10日間の瞑想体験を最高の状態にするためです。シャワールームやトイレは共有ですが、後の人が不快な思いをしないよう細心の注意を払うようになりました。


また、お金を払って清掃をしてもらうわけではないので、自分が果たさなければならない責任感が強くなりました。

 

■認識の変化


8.虫が気にならなくなった


コース中は全員が5つの戒律に従うことを要求されます。その一番目に来るのが「いかなる生き物も殺さない」という戒律。しかし、瞑想センターは千葉の山の中です。ありとあらゆる虫に囲まれて生活することになります。


最初はこれが辛かった。蚊に刺されても潰してはいけないわけです。ところが、この虫がだんだん気にならなくなってしまいました。


蚊は刺してきますが、痒みという感覚はいずれ消え去るものです。伝染病の恐れが無ければほっておいても良いかなと思うようになりました。その他の虫は、こちらに攻撃の意図が無ければ大人しいものです。こちらが嫌がって大袈裟に反応するから、虫もバタバタするということがわかりました

9.体の姿勢と頭の働きの密接な関係を理解した


ヴィパッサナー瞑想では「無意識を意識でコントロールする」修行を行います。この為、自分の「意識の状態」と「無意識の状態」を感じ取る感度が上がります。その結果、姿勢によって意識・無意識の優勢/劣性が影響を受けるということに気づきました。


僕の場合、「座禅」の姿勢を取ると意識が優勢になり、「体育座り」をすると無意識が優勢になります。「椅子に座る」のはその中間くらい。


瞑想は座禅で行いますが、数時間座禅を組み続けるのは辛い。なので姿勢を崩します。すると意識・無意識のバランスが変わるということに気づきました。この気づきが面白かったので、色々な座り方を試してみました。100時間の自分の体を使った実験の結果が上記。


要は、「意識を明晰に持ちたい時」・「無意識に仕事をさせて創造力を発揮したい時」など状況に応じて姿勢は変えた方が良いということです。


ヨガのポーズなどは一つ一つ意識への影響が少しずつ違うんだと推察されます。これを紐解くのは結構役に立つんではないでしょうか?

10.贈与で社会が回るということがわかった


構造主義の文脈で「ものに価値があるから交換される」のではなく「交換すること自体に価値があるからものが交換される」という議論があります。これが身に染みてわかった。


上でも書きましたが、ヴィパッサナー瞑想の10日間コースは無料です。食費、滞在費、すべて無料で、運営は古い生徒さん(1度以上コースに参加したことがある人)のボランティアによって賄われています。


今回僕は何の対価も支払っていません。ただ贈与を受けただけです。しかし、このことが自分の心に変化を起こしました。もらったものを大きく育てて次の誰かに渡す、ということを自然な行為として認識しています。次にヴィパッサナーのコースに行くときは、奉仕スタッフとして行くと思います。コースで新しく学ぶ人が良い経験を出来るように奉仕する。それが普通の行為のように感じています。


世の中はお金を払ってサービス・商品を受け取る、という仕組みで出来ています。だから、お金の無い人はこの世の中で生活が出来ません。この仕組み自体を否定するつもりはありませんが、生活の最低限の部分(衣・食・住)は贈与の仕組みで回しても良いんじゃないか?という意識を今回強く持ちました。

以上、2014年夏にヴィパッサナー瞑想に行って得た副次効果を10個ほどまとめてみました。

これらはあくまでおまけの効果です。これらを得るためにヴィパッサナーに行くというのは本末転倒です。また、人それぞれ経験から得られるものは異なると思います。そういう認識の上で、それでも何か参考になるところがあれば幸いです。

次回は、ヴィパッサナー瞑想のメインの効果についてまとめてみようと思います。

 Photo by (c)Tomo.Yun

著者プロフィール

渡邉 寧YASUSHI WATANABE

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立し、現在は「人と組織が変わること」に焦点を絞ったコンサルティングに取り組んでいる。プライベートではアシュタンガヨガに取り組み、ヨガインストラクターでもある。 株式会社かえる 代表取締役

プロフィール詳細

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