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6次元モデル(異文化を理解するフレームワーク)ブログ歩きながら考える

2025.6.10

就活のAI利用率60%に見る採用の未来 – 歩きながら考える vol.60

渡邉 寧 | 京都大学博士(人間・環境学)

「歩きながら考える」

今日のテーマは、AIを使った就活の未来について。このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題をラジオ感覚で平日(月~金)毎日お届けしています。

こんにちは。今日は電車移動の時間を使って、「就活のAI事情」について考えたことをシェアしようと思います。先月、毎日新聞で「就活生の6割がAI使用」という記事を読んだんですよ。で、これ見て思ったのが、今就活をしている世代以降、AIの活用率がガラッと変わっていくだろうなって。だって就活の時にその便利さに気づいちゃってるわけじゃないですか。今日はそこから始まって、採用の未来予測と、生身の能力を見る社会制度について、歩きながら考えてみます。

就活でのAI利用が当たり前になる時代へ

まず最初に、この変化について考えてみたんです。

マイナビの調査によると、2024年に就活でAIを使ったことがある学生が62.9%と前年の39.2%から急拡大し、エントリーシートの推敲に56.6%、作成に41.7%の人が使ってるんですって。

これ見て「あー、これは来年以降職場が変わるわ」って思ったんですよ。就活っていう、ほぼみんなが経験する超重要な場面でAIの便利さを実感した世代が、これから社会に出ていくわけです。つまり、AIを使うことが「すごい特別なこと」じゃなくて「まあ、普通のツールでしょ」って認識する世代が、いきなり大量に入ってくるということなんですよね。

中央大学では「Chu活ボット」っていうAI面接練習システムが導入されてて、3Dアバターの面接官と練習できるらしいです。学生からは「考えがクリアになった」って好評だそうで。もう大学レベルでAI活用が当たり前になってきてるのを見ると、採用プロセス自体も変わらざるを得ないよなーって思います。

エントリーシートが消える日は近い?

ここから、採用プロセスの未来について考えてみたんです。

企業の採用担当者って、今めちゃくちゃ困ってると思うんですよ。提出されたエントリーシートが、本人が書いたのかAIが書いたのか分からない。完全にAI丸投げだったら何となく分かるけど、ちょっと手を加えられたら判別不可能ですよね。

だったら、もうエントリーシートって形式自体、やめちゃえばいいんじゃないかって思うんです。

そういう動きって、もう始まってますね。AI面接の導入がチラホラ見られるようになっていて、日程調整から面接、評価、レポート作成まで全部自動化できて、選考プロセスの工数を大幅削減できる。企業側がAI面接サイトを設定して、応募者がオンラインで面接受けると、そのデータが自動的に収集・分析される仕組みになっている。

リアルタイムの対話形式なら、AIのサポートは受けにくいじゃないですか。その人の「生の実力」が見えやすくなる。面接官の主観的な評価のバラつきも減って、より公平な評価ができるようになるかもしれない。

企業が本当に見たいもの

で、ここで重要なのがですね、企業側が見たいのはAIにサポートされた人材のパフォーマンスじゃなくて、その人材の生身の能力やポテンシャルなんだろうってことなんです。

なんでかというと、もともとの能力やポテンシャルが高い人がAIを使うことで、めちゃくちゃ大きな成果が期待できるから。

現状のAIによる生産性向上を見ると、初学者が使ったときのジャンプ率がすごく高くて、アウトプット全体のクオリティが平準化されていく。つまり、AIって「できない人」を「そこそこできる人」にする力がめっちゃ強いんですよね。

でも企業としては、生身の能力が高い人がAIを有効活用して、さらに高いパフォーマンスを発揮してくれることを期待してるわけです。だからこそ、AIの助けを借りて提出することが当たり前みたいな入社試験は、早くやめていった方が良いと思います。

生身の能力を見られる関門があることの意味

就活がどう変わっていくかを考えたとき、もう一つ重要な視点があるんです。

人生において重要な関門で、自分の生身の能力を見られるっていう社会的な設定があると、どうなるか。それは、どうやって生身の自分を伸ばしていくかってことを大きな目標に置きつつ、日々AIを活用するようになるってことなんですよ。

大学入試、就職試験、転職面接、資格試験。こういった人生を左右する場面で「生身の人間」として評価されるってわかってたら、AIへの向き合い方が変わるじゃないですか。AIに丸投げするんじゃなくて、AIの支援を受けて自分の力を伸ばしていく。そういう使い方になっていくはずなんです。

AIと共に成長する社会を目指して

最後に、この「共成長」っていう考え方について。

僕が思うに、AIとの関係って二択なんですよ。「丸投げしてプラマイゼロ」になるか、「ともに成長してレバレッジかける」か。

丸投げパターンだと、確かに短期的には楽になるけど、自分の能力は伸びない。そのうちAIがなきゃ何もできなくなっちゃう。でも、共成長パターンだと、AIを使って自分の限界を押し上げ続けられる。AIが進歩すればするほど、自分も成長できるんです。

この差って、きっと10年後、20年後に大きな格差になると思うんですよね。だからこそ、採用プロセスの変革は単なる効率化の話じゃなくて、社会全体でAIとの付き合い方を考える重要な転換点なんじゃないかなって。

エントリーシートが消えて、AI面接が当たり前になる。それって単なる技術の進歩じゃなくて、「人間の本質的な能力」と「AIを活用する能力」の両方を育てる社会への第一歩かもしれませんよね。

もしこの記事に賛同できるところがあれば、ぜひSNSでシェアしてくれると嬉しいです。みなさんの中で「うちの会社もAI面接導入を検討してる」とか「生身の能力を見る採用、実際どうやるの?」みたいな意見があったら、コメントで教えてください。

最後まで読んでくれて、ありがとうございます。駅に着いたので、今日はこの辺で。また次回の「歩きながら考える」でお会いしましょう!

著者プロフィール

渡邉 寧YASUSHI WATANABE

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い。 経歴と研究実績はこちら

プロフィール詳細

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