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2025.4.21

ホフステードで紐解く関西文化のレアキャラ度 – 歩きながら考える vol.27

渡邉 寧 | 京都大学博士(人間・環境学)

「歩きながら考える」

今日のテーマは「関西の文化」について。このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題を平日(月~金)の毎朝ラジオ感覚でお届けしています。散歩中のちょっとした思いつきを、ぜひ一緒に味わってみてください。

こんにちは! 今日は移動時間を使って、「関西文化」について話してみようと思います。関西の「反権力」文化と、ちょっと集団主義っぽさや「女性性」を感じる点を、ホフステードの文化理論や京都の飲み屋エピソード、アメリカとの対比でゆるく考えてみました。歩きながらの雑談にお付き合いください。

関西の「反権力」魂と万博のギクシャク感

まず、きっかけは朝日新聞の記事(2025年4月12日)。作家の高村薫さんが「万博は「反権力の関西文化と正反対でも「行く」理由」と言っているのを読んだこと。高村さん曰く、関西って「反権力」の気質があって、中央権力(政府や万博協会)が旗を振る国家プロジェクトとは文化が違うのではないか、とのこと。

高村さんのインタビュー読むと、万博の「中央権力に接近して経済効果を狙う姿勢」に、心躍らないものを感じるとのこと。関西文化は「無駄だらけでナンセンスなもので、経済効率や合理性に縛られた常識をひっくり返し、権力や権威に対抗する力がある」と言っていました。

ホフステードで読む:関西は「レアキャラ」文化?

これを読んで、ちょっと思い当たる節があるな、と思ったのは、「経済合理性」みたいなものとは相いれない空気を関西には感じること。

たとえば、僕はもともとは横浜出身で、東京が長いんですが、今は京都に住んでます。で、京都に5年住んでて明らかに東京と違うと思うのが、飲み屋の文化。古民家風の居酒屋に行くと、席空いてても「常連さん用に」カウンター確保してたりしててて、観光客が「席ありますか?」って来ても断っちゃったりするんですよね。

売上考えたら、一見さんでも入れちゃった方が良いんじゃないか?と思ったりするんですが、「すみません、予約で一杯です」って。東京だったら、席が空いてたら先着順で誰でも入れちゃうことの方が多いんじゃないかなーと思うのとは対極です。

京都は「地元の縁」を明確に優先する空気。常連さんも、別に席の予約しているわけじゃないから、来るかどうかはわからないのに、来るかどうかわからない常連さんの為に席を空けて待ってるのって、ちょっとどうなんでしょう。あんまり東京でそういうお店みたことなかったんでびっくりしました。

これ、ホフステードの次元で言うと、京都は東京より「集団主義」的ということになると思います。「地元の縁」優先ですね。また、高村さんが言うように、権力に対するカウンターが文化としてあるなら「権力格差」も低そう。

この「低権力格差 × 集団主義」って、ホフステードのデータだとすごく珍しいんですよ。コスタリカ(権力格差35、個人主義15)に近い、結構珍しいパターンです。

それから、もう一つ、京都の方が「女性性」が高いようにも感じています。ホフステードの定義だと、男性性が高いと成功や勝利に価値を置き、女性性が高いと生活の質や調和に価値を置く傾向が強くなります。

たとえば、京都の営業マン見てると、「これ買ってください!」ってガツガツ来ないんですよ。「まあ、良ければ見てってや」みたいな、押しが弱い感じ。東京だと、もうちょい直接的にセールスしてくるけど、京都はなんかこう、はんなりした柔らかさで「よろしければどうぞー」って雰囲気。

まあ、京都と大阪などの他の関西圏はそれはそれでちょっと文化差がありそうだとは思うものの、ここまでまとめると、関西は「低権力格差」×「集団主義」×「女性性」という文化パターンなのかもしれません。

アメリカとの微妙な距離感:笑顔で後ずさり

最後に、ここで、冒頭の高村薫さんの記事の視点。高村さんが「アメリカに対しては笑顔で後ずさりする」って言ってたのが、めっちゃ印象的だったんです。

前の記事でも書きましたけど、2025年のアメリカ、トランプ政権が再登場して、競争や自己主張バリバリの「個人主義 × 男性性」なムードが強いですよね。かつ、トランプ大統領自身が、プーチンや習近平に親近感を感じていると言われていることから、政権としては「権力格差」が高いのかもしれない。

つまり、トランプ政権のアメリカと、関西って文化が真逆ということなのではないかと思います。トランプのアメリカと関西のこのギャップ。2024年の大統領選後、なんか「アメリカ疲れ」みたいな空気、感じません? 高村さんの「笑顔で後ずさり」って、まさにその感覚なんじゃないかと思いました。今週、大阪万博に行こうと思っているんですが、高村さんが言うように、これが「国際連帯を謳いつつ、自由と民主主義を守る」、関西らしい「柔らかい連帯」の場になってくれたらいいなって、歩きながら思いました。

まとめ:関西文化と万博、どんな化学反応?

というわけで、今日は京都に感じる関西文化について考えてみました。大阪万博と関西文化のねじれや、アメリカとの距離感の話って結構興味深いと思うんですよね。みなさんはどう感じますか?

もし「万博、関西らしさ出てると思う!」みたいな意見があったら、ぜひSNSでシェアしてコメントください。関西在住の人はもちろん、関東や海外から見た視点も聞いてみたいです。

最後まで読んでくれて、ありがとうございます。また次回の「歩きながら考える」で会いましょう!

著者プロフィール

渡邉 寧YASUSHI WATANABE

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い。 経歴と研究実績はこちら

プロフィール詳細

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