こんにちは。今日も歩きながら、最近考えていることを話してみようと思います。まだ8月でめちゃくちゃ暑いんですが、9月に入るとだんだん秋らしくなってきて、マラソン大会のシーズンが始まります。で、今日はその練習計画を立てる中で気づいた、データと腹落ちとAIの話です。
京都マラソンの雪辱と、Apple Watchの振り返り
私のメインの大会は、春先の一番寒い時期、2月・3月のレースです。特に去年は京都マラソンで盛大に失速して、とんでもない成績だったので、今季は同じ過ちを繰り返さず、自己ベストを出しに行くぞという気概で練習をしているところです。
で、どういう練習をどれぐらいやるといいのか。人に教えてもらうのももちろん参考になるんですが、ふと思ったんです。過去の自分がどういう練習をしたときに一番調子が良かったのかを振り返るのも、自分の体に合った練習を見つける上で有効なんじゃないかと。
幸い、マラソン大会に出始めてからずっとApple Watchをつけているので、本当に最初の頃からの走行距離と、その時期のレース成績が全部残っているんですよね。それを目視でざっと確認してみたんですよ。そしたら、割と興味深いことが分かりました。
興味深いと言っても、結論は当たり前の話です。フルマラソンで足が攣るようなアクシデントもなく、納得のいく走りができたレース——自己ベスト(3時間43分くらい)や、「最後まで足が残っていたな」という印象があるレース——の前月・前々月は、月間走行距離が200km以上なんです。一方、うまくいかなかったレースのときは、自分では一生懸命走っていた記憶があっても、月間100〜150kmくらいしかない。そういうときは、大体うまくいっていないんですよね。

知っていたのに、腹落ちしていなかった
ここで面白いのは、この月間走行距離の話、実は前から知識としては知っていたということなんです。「サブ3.5を目指すなら月間220km以上が望ましい」「サブ3なら月間300kmは当たり前」といった話は、人から聞いたり、記事で読んだりしていました。
でも正直、その知識が私の行動を変えることは、これまであまりなかった。それが、自分の過去のデータと照らし合わせた瞬間に、ものすごい説得力を持ったんです。「ああ、本当にそうなんだ」と。
で、腹落ちすると、行動が変わるんですよね。今季は月間200kmを走り続ける必要がある。そのためには何よりも怪我をしないことが大事。だから、ちゃんとしたフォームで走ろう、怪我をしにくいシューズやギアを選ぼう、という意識づけに、自然につながっていきました。
同じ情報なのに、「一般論として教わった」ときには動かなかった私が、「自分のデータの中に自分で見つけた」ときには動いた。この差って、何なんでしょうね。

AIの「正しい答え」は、なぜ人を動かさないのか
ここからがAIの話です。
たとえば今のAIに「フルマラソンでサブ3.5を目指すには、月間どれくらい走ればいいですか」と聞くと、大体こんな感じの答えが返ってきますよね。
「一般的には、月間走行距離200km前後が一つの目安と言われています。ただし、必要な距離には個人差が大きいため、この数字を鵜呑みにせず、まずは現在の走行距離から1割程度ずつ増やして、体の反応を見ながら小さく試していくことをおすすめします。怪我の予防のため、休養日もしっかり確保していきましょう」
正確で、情報が整理されていて、必ず但し書きが付いていて、断定は避ける。言い方は基本ポジティブで、それでいて答え自体はしっかり伝えてくれる。今のAIの伝え方って、大体このスタイルだと思うんです。そして、これはこれで立派な回答なんですよね。何も間違っていない。これで腹落ちして動ける人も、きっといると思います。
でも、私の場合を思い返すと、この答えに含まれる知識は、前から持っていたわけです。それでも動かなかった。動いたのは、自分のデータの中に自分で法則を発見したときでした。
だとすると、こういうAIがあったらいいなと思うんです。答えを丁寧に渡すのではなくて、「Apple Watchに何年分かデータが溜まっていますよね。うまくいったレースと、そうでなかったレースの前の2ヶ月、走行距離を並べて見てみませんか」と、データの見方をそっと示して、問いを投げてくる。で、私が「あ、200kmを超えてるときは調子がいいな」と気づいたところで、初めて一般論を添えてくれる。答えを教えるAIではなく、発見に導くAI。腹落ちの深さで言えば、こちらの方が効くんじゃないかという気がするんです。
もちろん、腹落ちの形は人によって違います。細かいKPIをたくさん追いかけるのがしっくりくる人もいれば、私みたいに「この一つの指標」だけを目がけて頑張りたい人もいる。フォーム改善のような具体的な体系で示された方が納得する人もいる。だからこそ、その人のデータと性格に合わせて「どうすれば本人が発見に至るか」まで設計してくれるAIには、大きな可能性があると思うんですよね。

まとめ:分析の競争から、納得の競争へ
もちろん、私一人のデータでは、月間走行距離が「原因」だとまでは言い切れません。調子がいいから走れている、という逆向きの因果だってあり得ます。でも、だからこそ、ビッグデータの一般論と個人のデータを掛け合わせて、その人に合った「発見」を設計する余地に、AIの出番があると思うんです。
健康、学習、トレーニングの補助といった領域は、ものすごく大きな市場です。そして、これからのサービス開発の競争は、分析の精度そのものよりも、「腹落ち」をどう設計するかの競争になっていくんじゃないか。自分が使って「これはすごい」と思えるサービスが出てくることを、すごく期待しています。
というわけで、今日はマラソンの練習データから始まって、AIと腹落ちの話まで、歩きながら考えてみました。もしこの記事が面白いと思ったら、ぜひスキやSNSでのシェアをお願いします。「私はこういう伝えられ方だと腹落ちする」みたいな話があったら、コメントで教えてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。また次回の「歩きながら考える」でお会いしましょう!