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今回は、ChatGPTの音声モードの進化と、1人ブレストでAIに本当に求めているものは何か、について。このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題をラジオ感覚で平日(月~金)毎日お届けしています。
こんにちは。今日も歩きながら、最近感じたことを話してみたいと思います。テーマは、ChatGPTの音声モードが良くなったな、という話です。ただの製品レビューで終わらせず、「そもそも1人ブレストのとき、僕らはAIに何を求めているのか」というところまで考えてみたいと思います。
GPT-5.6が出たので、久々にChatGPTに戻ってみた
僕がメインで使っているAIは、依然としてクロード(Claude)です。ただ、先日GPT-5.6がリリースされたので、久々にChatGPTのサブスクに登録して使ってみました。結論から言うと、メインで使うのは引き続きクロードかな、と思っています。それでも一つ、「これは結構良くなったな」と感じたところがありました。それが音声モードです。
僕は普段、散歩をしながら音声モードで1人ブレストの壁打ちをすることが結構あります。ブログのネタを話したり、研究のアイデアを整理したり。行き帰りの散歩で毎日使っているので、各社の音声モードの進化には、わりと敏感な方だと思います。

進化のポイントは「テンポ」と「相槌」
今回のChatGPTの音声モードで良くなったと感じたのは、テンポです。こちらが会話を遮って重ねて発言したときのレスポンスがスムーズになりました。この点は、クロードやセサミ(Sesame)も含めて各社が取り組んでいるところですが、体感としてかなり良くなった印象です。
そしてもう一つ、地味だけど「これはいいな」と思ったのが、相槌を打ってくれるようになったことです。こちらが話している間に、「うんうん」「なるほど」と自然に相槌が入る。たったそれだけのことなんですが、使ってみると体験が全然違うんですよね。
AIの進化というと、どうしても推論能力とかコーディング性能とか、「賢さ」の話になりがちです。でも音声モードにとっては、こういう小さな変化こそが結構重要なんだな、という再確認になりました。
1人ブレストに必要なのは、アイデアではなく相槌
なぜ相槌がそんなに重要なのか。ここが今日一番考えたいところです。
1人ブレストをしているとき、僕らは相手に「すごくいいアイデア」を常に求めているわけではないんですよね。まず必要なのは、自分の考えを外部化することです。声に出すというのは、頭の中にあるまとまった情報量を外に出すということ。そして面白いのは、外部化すると、自分の考えに対する認識がちょっと変化するんです。話しているうちに「あ、自分はこう考えていたのか」と気づき、それに応じて次のアイデアが出てくる。1人で頭の中でうんうん唸っているときとは違うモードで、ものを考えることができる。
このとき相手に必要なのは、鋭い意見や評価というよりは、自然な相槌だったりします。「ちゃんと聞いてもらえている」という感覚が、外部化を止めずに続けさせてくれる。逆に言うと、相槌のないAIとの壁打ちは、どこか壁に向かって話している感じが拭えなかったわけです。相槌という一見些細な機能が、実は思考の外部化を支えるインフラになっている。そう考えると、今回の進化は僕にとっては大きな進化でした。

それでも悩ましい「デジタル小作人化」問題
ただ、音声モードをめぐる状況には、悩ましい点もあります。
一つは、音声モードの開発競争がそんなに熾烈ではないように見えることです。おそらくニーズがそこまで大きくないか、開発の優先度が高くないのだと思います。僕はこれがすごく不思議なんですけどね。結果として、モデルによってできることとできないことがバラバラです。
たとえばクロードは、コネクターを使ってリマインダーやカレンダーに接続できるので、「今話した内容、忘れると嫌だからリマインダーにまとめておいて」と言えば、iPhoneのリマインダーに項目を作ってくれます。Googleカレンダーとの接続はちょっと不安定なところがありますが、Appleのリマインダー等との接続はすごく良い。話した内容をその場で残せるというのは、壁打ちの実用性を大きく左右します。一方、ChatGPTの音声モードではそれができない。惜しいなと思いつつ、それでも相槌とテンポの良さから、最近の壁打ちはわりとChatGPTを使うようになっています。
そしてもう一つの悩みが、こうやって用途ごとにAIを使い分けていくと、いろんなAIにサブスクすることになってしまうことです。どんどんデジタル小作人化が進んでいくようで、正直嫌だなと思っています。とはいえ、各社の得意領域がバラバラな現状では、しばらくはしょうがないかな、と割り切ってやっています。
みなさんは、AIとの壁打ち、どのツールを使っていますか?「賢さ」以外の理由でAIを選んだ経験があったら、ぜひ教えてください。
というわけで、今日はChatGPTの音声モードの進化と、1人ブレストでAIに求めているのは実は「相槌」だった、という話でした。この記事が少しでも面白い・役に立ったと思ったら、ぜひいいねやフォローをしてくれると励みになります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
著者プロフィール
渡邉 寧YASUSHI WATANABE
慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い。 経歴と研究実績はこちら。
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