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6次元モデル(異文化を理解するフレームワーク)ブログ歩きながら考える

2026.5.12

AI依存になりやすいのは「孤独な人」? それとも「恵まれた人」? – 歩きながら考える vol.285

渡邉 寧 | 京都大学博士(人間・環境学)

今日のテーマは、AI使うと脳の配線が変わって頭が悪くなるかもしれない話。このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題をラジオ感覚で平日(月~金)毎日お届けしています。

こんにちは。今日は移動時間を使って、もう1つ話しておきたいことがあります。先月、AI依存に関する論文が完成して、今月中に投稿しようと思っているところなんですが、これがなかなか考えさせられる分析結果だったので、歩きながらちょっと話してみます。

AI依存って、どうやって出来上がるのか

まず、AI依存って今、割と大きな問題になりつつあると思うんですよ。

これ、プロセスとしては結構わかりやすくて、最初は「便利だな」と思ってAIを使い始める。それがだんだん習慣化していく。で、習慣化する中で、道具として使うというよりは、認知や判断まで含めて丸投げするみたいな状態になっていく。その結果、AIが使えなくなったら自分は何もできないんじゃないか、不安だ、という状態になる。これがAI依存と言われている状態なんですよね。

ただ、当然このプロセスは誰にでも同じように起きるわけじゃなくて、依存に至る人と、便利に使いこなしているだけの人がいる。じゃあ、どういう状況だと依存に至るのか? ここがなかなか興味深いところなんです。

「足りない人」が依存する、という直感的な話

普通に考えると、こう思うじゃないですか。「足りないものをAIが補ってくれる場合、依存になるんじゃないか」と。

なぜなら、AIがなくなったらまた足りない状態に戻っちゃうから。それは怖い。だから手放せなくなる、と。

これ、新聞や雑誌の記事でもよく出てくる話で、人間関係の代替みたいな話をよく見ますよね。恋人や親しい友人がいない人がAIに親密さを求めて、依存しちゃって、たまにAIが間違ったこと言うと、それに従って間違った行動をしちゃう。そういう怖い事例。

実際、ChatGPTのヘビーユーザーを調査すると、孤独な人の割合が比較的高いという分析もちょっと前にMIT Media LabとOpenAIが出していました。ここから考えると、この「足りないから依存する」というルートが一定程度あるのは、間違いないと思うんです。

ただ、これって依存の唯一のルートなのかな?っていうのが、ずっと気になっていたんですよね。衝撃的な事例として語られやすいから目立つだけで、もっと別の経路もあるんじゃないか。そこを、ちょっとデータで確かめてみたかったんです。

もう1つの可能性:「恵まれている人」も依存する?

ここで、もう1つの可能性を考えてみたんです。

AIから提供されるものって、考えてみれば、情報をくれたり、助けてくれたり、感情的なケアをしてくれたりっていう、要するに周りの人がしてくれるサポートと似てますよね。

で、我々は社会の中で暮らしてるから、当然このサポートを周囲の人々から日々受けてるわけですよね。家族、友人、同僚、上司から。特に職場では、同僚や上司からのサポートが日常的にある。

ここで2つの可能性が出てきます。

1つ目は、職場のサポートが足りないからAIで補おうとして、結果として依存する、というパターン。これがさっき話した「足りないから依存する」ルートですね。

2つ目は、職場のサポートが十分にある中で、AIからもサポートを受けて、両者がうまく組み合わさる、というパターン。職場のサポートとAIのサポートが掛け合わさって、「AIってめっちゃいいじゃん」という強い有用性の認識が生まれて、習慣化が進んで、結果として依存に至る、というルート。

両方ともありうるんですよ。じゃあ実際、どっちが起きているのか? これを実験データから分析してみたのが、今書いている論文なんです。

観察された、ちょっと意外な現象

で、結果なんですが、今回のデータでは後者のパターン、つまり「恵まれている人ほど、AI依存が少し上がる」という現象が、一部で観察されたんですよね。

職場のサポートが十分にある人がAIも使うと、両者がうまく組み合わさって、AIの便利さがより強く感じられて、それが依存に繋がっていく可能性が有る。これ、最初の想定とちょっと違ったんで、面白いなと思って、今論文を書いているところです。

そう考えると、世間で語られる「孤独でAIにすがる人」のイメージとは別に、もう1つの依存パターンがあることになる。「恵まれていて、AIをうまく使いこなせている人」も、実は依存リスクを抱えているかもしれないと。

論文投稿が無事に上手く行ったら、また詳しい内容をシェアしたいなと思います。

というわけで、今日は「AI依存はどんな人に起きるのか」というテーマで、歩きながら考えてみました。

この記事が少しでも面白い・役に立ったと思ったら、ぜひいいねやフォローをしてくれると励みになります! また次回の「歩きながら考える」でお会いしましょう!

著者プロフィール

渡邉 寧YASUSHI WATANABE

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い。 経歴と研究実績はこちら

プロフィール詳細

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