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今日のテーマは、AIの有用性と性格の関係について。このシリーズでは、筆者が街を歩きながら、日々の気付きや研究テーマについてのアイデアを語っていきます。ふとしたタイミングで浮かんだアイデアや、知的好奇心をくすぐる話題をラジオ感覚で平日(月~金)毎日お届けしています。
こんにちは。今日は移動時間を使って、最近ちょっと考えてることを話してみようと思います。AIについての話なんですけど、僕がAIって本当に便利だなと思うところと、他の人が便利だと思っているところって、どうも違うっぽいなと最近感じるようになったんですよね。ここから色々考えたことを、歩きながらゆるく話してみます。
AIがとても便利だと思う人と、そこまで思わない人がいる
最近、AIに対する人々の反応って、かなり温度差があるじゃないですか。「AIめちゃくちゃ便利!仕事の仕方が変わった!」とアツく語る人もいれば、「まあ便利だけどね」というくらいの人もいる。
で、僕自身の話をすると、僕はAIを使っていて本当に便利だなと強く感じている側の人間です。でもこれ、AIの機能そのものが客観的に優れているからというより、僕の性格とAIの働きがうまくかみ合っているからなんじゃないか、と思うようになりました。

内向の僕にとって、AIは外界への出力を引き受けてくれる存在
性格って色々な測り方があって、学術的にはビッグファイブの「外向性」という次元がよく使われるし、実務の現場ではMBTIの「E-I(外向-内向)」という指標が使われたりする。僕はビッグファイブだと外向性の得点が低いし、MBTIだと内向と認識しているんですよね。
内向の僕にとって、頭の中で考え続けること自体は全然苦じゃないんですよ。むしろ朝から晩までずっと何か考えてる。整理したり、つなげたり、検証したり。内面の作業は好きなんです。
でも、自分の中ですでに整理できていることを、わざわざ外界に向かってアウトプットする作業、これがものすごい徒労感なんですよね。自分の中では分かっちゃってることを、なんで今さら言語化して、文書化して、図解までしなきゃいけないんだ、と。性格上、どうしてもそこに面倒くささを感じてしまう。でも理屈としては、外に出さないと他の人に伝わらないことは分かっているから、徒労感を覚えながらもやっているわけです。
ここでAIが登場するわけですよ。AIは、頭の中ですでに分かっていることを口頭で独り言のように伝えると、それを文書化したり、図解したりという、外界に対するアウトプット作業を引き受けてくれる。徒労感を覚えながらもやらなければいけなかった部分を、AIがサポートしてくれるわけです。
内向の僕にとって、これは今まで自分の中にあったものを外界に出すことが、極めて楽になったという意味で、確かにAIは革命的だと感じるし、非常に高い有用性を実感するわけなんです。
ただこれは、僕の性格に基づくAIの捉え方であって、他の性格の人にとっては、当然AIというのは何か違うように見えるだろうというのは、容易に想像がつきます。

AIの有用性を感じる経路は、一つじゃない
ここでちょっと整理しておきたいんですが、AIの有用性を感じるようになる経路って、僕は2つあると思っているんです。
1つは、自分の中に欠乏しているものをAIが補ってくれるというパターン。いわゆる「補償(コンペンサトリー)的な経路」ですね。自分が苦手だったり、徒労感を覚えていたりした部分を、AIが肩代わりしてくれることで、有用性を感じる。僕の場合はこっちです。アウトプット作業への徒労感を、AIが引き受けてくれる。
もう1つは、自分の中にすでに十分に持っているものをさらにうまく活用するために、AIを組み合わせるというパターン。欠乏があるわけじゃないんだけど、手元にある能力や知識を拡張するためにAIを使って、「あ、こういう使い方ができるのか」と有用性を発見していく経路。
つまり、補償経路と、拡張経路。この2つが並行してあり得るんです。僕の場合は前者の補償経路がはっきり動いているから、AIに強い有用性を感じる。でも必ずしもこの結合だけがAI利用の入り口ではない、というのは押さえておきたいところなんですよね。たとえば、僕の場合、新しい機能がリリースしたりしても、自分のニーズと照らし合わせて関係性の薄いAIの進化に関してはあまり興味がわかないのでスルーしてしまう。AIエージェントなどはつい最近まではかなりスルーしていました。僕のニーズに関係ないから。
課題とAIのフィットから、有用性は立ち上がる
そう考えると、「AIに強い有用性を感じるかどうか」って、結局は自分の中の課題とAIができることの間にどれくらいフィットがあるかで決まる部分が大きいんじゃないかと思います。
自分が抱えていた課題意識として感じていたことを、「これ、AIで解決できるんだ」と体験し、認識した人にとっては、これはものすごい有用性を自覚することにつながります。僕のアウトプット問題も、ある意味そうでした。
でも、必ずしもAIがあらゆる人の課題の解決策になるわけではない。自分の人生の課題や苦手意識、劣等性意識とAIの距離が遠い人にとっては、そこまで革命的に必要なものとは感じないかもしれません。
というわけで、今日はAIの有用性と性格の関係について、歩きながら考えてみました。AIに強い有用性を感じるかどうかは、その人の性格や、抱えている課題とAIのフィット次第。万人にとっての革命というより、個々人の課題との結合から有用性が立ち上がってくる、という話でした。
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著者プロフィール
渡邉 寧YASUSHI WATANABE
慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立。2025年に京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は文化心理学、組織行動。最近の研究テーマはAIの社会実装 × 職場の幸福感 × 文化の違い。 経歴と研究実績はこちら。
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