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ヨガと瞑想

2014.10.8

効果実感:瞑想で仕事の集中力を高める方法

渡邉 寧 | 株式会社かえる 代表取締役

■集中力問題と瞑想

「集中力が続かない。。。」

私は学生時代から、集中力の持続性の無さに悩まされてきました。同じような問題に悩まれている方も多いのではないでしょうか?

今考えるに、学校時代に集中力が続かなかったのは、「学ぶ対象に興味が持てなかった」ということと「フロー状態を起こす学びの環境でなかった」ということが原因だと思っています。自分が受けてきた学校教育は、本質的なところで質が劣化していました。

一方で、仕事をするようになった今の集中力の問題は深刻です。ぼーっと想像力を膨らませている時間も大切ですが、大切なのはメリハリ。集中して仕事を前に進める時間と、リラックスして想像力を高める時間のサイクルをきちんと持つことが、仕事の質を高めます。要は、集中する時間自分の意思でコントロールできることが理想なわけです。

■一般的な集中力を高める方法

では、どうすれば意識的に集中力を高めることが出来るのでしょうか?

巷には集中力を高める方法のTipsが溢れています。それらは大きく2つにまとめられるように思います。

一つは「段取り系」

・目標を小さく分割する
・小さな成果を見える化し、積み上げる
・ストップウォッチで作業時間を図る
・作業時間を15分等で区切って、短い休憩をはさむ
・前日寝る前に翌日の作業イメージを作って起床に備える
・仕事に取り掛かる儀式を持つ(例:机を整理する)、等

集中するモードに入りやすい「段取り」の作り方があります。この辺りのTipsはどれも効果があると思います。私もほとんどのものを生活に取り入れています。

もう一つは「脳の調整系」

・運動を習慣化する
・栄養バランスに気を配る
・睡眠を取る
・音楽を聴く
・ガムをかむ、等

これらのTipsも効果がありますね。私は集中するときは、ヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」をリピートで聴きます。クラシック以外の音楽は、私の場合集中力を損ないます。ただ、クラシックの中でも、モーツァルトは集中力を損なうが、バッハとかヘンデルは集中力を高める、など作曲家によって効果に差があります。

■瞑想:もう一つの集中力強化法

「段取り系」と「脳の調整系」の他に、もう一つ、集中力を高める方法があります。これは、私個人の生活の中で最近新たに加わったものです。驚くほど強力な効果があって驚いたので、友人に勧めています。

それが瞑想

瞑想すると意識の力が強くなるんです。無意識から出てくる雑念を抑え、集中力が増します。瞑想の効果は誤解されているところがあるように思います。瞑想法にもよりますが、基本的に瞑想してもリラックスしません。集中して瞑想すると、覚醒して寝られなくなります。

やり方は非常に簡単です。まずは、意識を鼻孔の下から上唇の上の部分に集中させます。そして鼻で呼吸をし、その呼吸が出たり入ったりすることに気づき続けます。それだけです。座り方はなんでも良く、椅子に座った状態でも構いません。オフィスの自分の机で数分目を閉じて行うだけでも効果があります。

この瞑想法は「アーナーパーナ」と呼ばれていて、集中力の強化に効く瞑想法です。「アーナーパーナ瞑想」は「ヴィパッサナー瞑想」という仏陀が悟りを開く時に行っていた瞑想法の導入として行うものです。私は毎朝の瞑想を日課にしていますが、30分瞑想するとすると、最初の5分はアーナーパーナを行います。これで明晰な意識を確保してからヴィパッサナーに入るようにしています。

はじめてアーナーパーナ瞑想をやる人は、自分の意識がすぐに飛んでしまうことに戸惑うと思います。鼻の下の狭い部分に意識を集中させるわけですが、これがなかなか出来ない。1分もすると雑念が湧いてきて、意識が鼻の下から離れてしまいます。

瞑想を続けていくと、自分の意識が「飛んだ」ことにすぐに気づけるようになります。飛んだら、「あ、今意識が飛んだ」と認識してまたすぐに鼻の下に意識を戻す。意識の飛びは中々なくなりませんが、意識が飛ぶ時間は減少していきます。

■瞑想で仕事での集中力増大

仕事をしていると、ふと別のことを考え始めることがあります。また、邪魔が入ることも非常に多い。電話がかかってくるとか、部下や上司が話しかけてくる、など集中を途切れさせる要素はオフィスに多々あります。

自分が今何に意識を集中させているのか。瞑想をするとそのことに気づくメタ認知の力が上がるように思います。瞑想の効果はアメリカを中心にマインドフルネスの文脈で科学的な実証が始まっています。私自身は集中力を上げたくて瞑想を始めたわけではないのですが、副効果の一つとして集中力が上がったことを実感しています。

ダライ・ラマ協力の元、1,500時間~55,000時間の瞑想を実践してきた僧を被験者とした実験を行ったウィスコンシン大学の神経科学者リチャード・デヴィッドソンは、慈悲の瞑想の実践中に、被験者の脳のポジティブ感情と行動準備の領域がかつて見たことがないレベルに活性化したことを報告しています。

急がば回れ、ではありませんが、仕事での集中力を増大させてパフォーマンスを上げたいのであれば、毎日の瞑想に時間投資をしてみるのも良いのではないかと思います。

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著者プロフィール

渡邉 寧YASUSHI WATANABE

慶応義塾大学文学部/政策・メディア研究科卒業後、ソニー株式会社に入社。7年に渡りマーケティングに従事。約3年の英国赴任を経てボストン・コンサルティング・グループに入社。メーカー、公共サービス、金融など、幅広い業界のプロジェクトに4年間従事。2014年に独立し、現在は「人と組織が変わること」に焦点を絞ったコンサルティングに取り組んでいる。プライベートではアシュタンガヨガに取り組み、ヨガインストラクターでもある。 株式会社かえる 代表取締役

プロフィール詳細

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